新ひだか町アイヌ施策推進地域計画から


新ひだか町計画の「林産物利用特別措置」

下の文章は、新ひだかアイヌ施策推進地域計画(2021年7月2日変更認定)から抜粋しました。一部改変しています。
内閣府ウェブサイト 2023/01/04閲覧

1 当該事業の必要性等

当町は、北海道日高管内のほぼ中央に位置し、東部は浦河町、西部は新冠町に接し、南一帯は太平洋に面している。地形は丘陵山岳地帯が多く、日高山脈とその支脈が連なるこれらの河川流域は、地味肥沢で農用地として利用され、山間部は森林地帯を形成し、針・広葉樹林の森林資源を有している。森林面積約96ha(民有林31ha、国有林65ha)森林率約84%であり、国有林の多くは町の北側に位置し、民有林は一円に点在している。

アイヌの人たちは、伝統の儀式に用いるイナウ(木製の祭具・ヤナギ等の枝で作る)をはじめとする各種の生活用具を周辺の森林から採集した樹木の枝・幹等の林産物を材料として制作してきた。こうした林産物の採集は、入林や購入に係る手続きの煩雑さから国有林野では行われておらず、専ら民有林で事前に所有者の了解を得た上で採取が行われてきた。しかしながら、高齢化が進展し、住居から離れた民有林までヤナギを採取しにいくことが困難になりつつある中、近隣の国有林野で採取できるようにならないかとの要望がアイヌの人々から強く出されていた。

今回の共用林野制度の特例措置により、こうした課題を解決し、アイヌ文化の維持及び次世代への継承を図る方針である。

2 当該事業により採取する林産物の種類、使用目的

ヤナギ(枝):アイヌ伝統の儀式の実施に用いるイナウの材料

3 当該事業により採取する林産物の概ねの数量

【静内地区】ヤナギ(枝):年平均約500本
【三石地区】ヤナギ(枝):年平均約100本

4 2の林産物の採取を希望する場所及び管轄する森林管理署等の名称

場所:新ひだか町内国有林野
管轄:日高南部森林管理署

5 予定する契約者

新ひだか町

6 予定する共用者

新ひだか町内に居住する者であって、イナウの作成、使用等を通じてアイヌ文化の復興等に資する意向のある者等(個々の共用者は契約時に作成する規約書において記載する)

7 管轄する森林管理署等との事前調整状況

令和元年8月29日に新ひだか町から事業の概略を説明し、概ね了解が得られている。


参考:北海道森林管理局開示文書(2023/02/27)


新ひだか町計画の川サケ利用「特別措置」

下の文章は、新ひだか町アイヌ施策推進地域計画(2021年7月2日変更認定)から抜粋しました。一部改変しています。
内閣府ウェブサイト 2023/01/04閲覧

1 当該事業の概要

人々にとってさけは、カムイチェプ(神の魚)、シペ(本当の食べ物)として、食料としてはもちろん衣服や履物にもなり、アイヌの人々の生活に欠かすことのできない大切な魚であった。さけが遡上するシベチャリ川流域のコタン(集落)では、マレク(突き鉤)等を使った漁が行われていた。新ひだか町では、こうしたアイヌにおいて継承されてきた儀式等を保存又は継承し、儀式等に関する知識の普及啓発を行うため、平成24年より伝統漁法を再現するとともに、保存食である「サッチェプ」(干し鮭)を作成し、さらには伝統的な鮭の調理法を再現する研修講座等を実施することにより、町民がアイヌ民族の精神文化に触れる貴重な機会となっているところであり、今後も引き続き継続して実施していく方針である。
また、平成25年から新ひだかアイヌ協会と高静小学校が連携し、アイヌの伝統的漁法であるマレク漁を地域の子供達に体験してもらい、命の大切さを教える学習の機会を設けているところであり、今後も引き続きアイヌ文化の伝承と理解の増進を図る方針である。

2 実施主体

新ひだかアイヌ協会(住所:新ひだか町静内御幸町3丁目2番50号、代表者氏名:大川勝)
三石アイヌ協会(住所:新ひだか町三石本町212番地、代表者氏名:幌村司)

3 採捕の区域

【新ひだかアイヌ協会】新ひだか町静内川の河口から4kmまでの区域
【三石アイヌ協会】新ひだか町延出川と三石川の合流点より上流からシカルベ橋までの区域

4 採捕の期間

【新ひだかアイヌ協会】9月中旬から11月中旬(約2ヶ月間)
【三石アイヌ協会】9月中旬から10中旬(約1ヶ月間)

5 採捕する水産動物の種類及び数量

【新ひだかアイヌ協会】さけ200尾程度
【三石アイヌ協会】さけ30尾程度

6 使用予定漁具

【新ひだかアイヌ協会】
マレク(長さ240cm、3本)
引き網(たて240cm×よこ20m、1枚)
刺し網(たて5m以下×よこ36m、3枚)
漁法(カギによるアイヌ民族伝統漁法)

【三石アイヌ協会】
マレク(長さ240cm、2本)
引き網(たて240cm×よこ20m、1枚)
漁法(カギによるアイヌ民族伝統漁法)

7 予定する採捕従事者

【新ひだかアイヌ協会】菅原勝吉氏(採捕責任者)ほか10名程度
【三石アイヌ協会】長山喜久雄氏(採捕責任者)ほか5名程度

8 使用予定船舶

【新ひだかアイヌ協会】湖沼用船舶1艘
【三石アイヌ協会】なし

9 関係者との事前調整状況

日高管内さけ・ます増殖事業協会
令和元年8月28日に計画の概略を説明し、内容について概ね了解を得ている。令和3年度の採捕区域の変更について令和3年5月24日に了解を得ている。令和4年度の使用予定船舶の変更について令和3年9月14日に了解を得ている。

ひだか漁業協同組合
令和元年8月29日に計画の概略を説明し、内容について概ね了解を得ている。令和3年度の採捕区域の変更について令和3年5月24日に了解を得ている。令和4年度の使用予定船舶の変更について令和3年9月14日に了解を得ている。