札幌市アイヌ施策実施プランから

札幌市計画の「林産物利用特別措置」

以下の文章は、札幌市アイヌ施策実施プラン(2022年3月10日変更認定)から抜粋しました。
内閣府ウェブサイト 2023/01/04閲覧

(1)当該事業の必要性等

札幌市は、石狩平野の南西部に位置し、東は石狩川から野幌原始林にかけての低地帯、西は手稲山系、南は支笏洞爺国立公園に連なる一大山地、北は日本海に隣接する石狩砂丘地に囲まれた全国屈指の広大な面積を有した都市である。

森林面積は71,180haで森林率は約63%となっており、そのうち約79%が国有林で占められている。

アイヌの人たちは、伝統的な儀式に用いるイナウ(木製の祭具)をはじめとする各種の生活用具を、周辺の森林から採取した樹木の枝・幹等の林産物を材料として制作してきた。

こうした林産物の採取は、入山や購入に係る手続きの煩雑さから国有林野では行われておらず、専ら民有林で事前に所有者から了解を得た上で行われているが、採取する樹木等の減少により、民有林での採取が困難になりつつあり、国有林で採取できるようにならないかとの要望がアイヌの人々から出されている。

今回の共用林野制度の特例措置により、こうした課題を解決し、アイヌ伝統文化の保存・継承・振興を図っていく方針である。

(2)当該事業により採取する林産物の種類、使用目的

【祭具の材料】ヤナギ、ミズキ、キハダ

【民具の材料・イオル再生事業(体験交流)】イチイ、オヒョウ、ガマ、サルナシ、山ブドウツル、カツラ、シナノキ、ハシドイ、ホウノキ、イタヤカエデ、ハリギリ

【アイヌ料理の材料・イオル再生事業(体験交流)】アズキナ、オオウバユリ、キハダの実、ニリンソウ

(3)当該事業により採取する林産物の概ねの数量

採取する林産物の数量は、国有林野から採取可能な量として資源状況等を確認した上で設定

(4)林産物の採取を希望する場所及び管轄する森林管理署の名称

場所:札幌市内国有林野
管轄:石狩森林管理署

(5)予定する契約者

札幌市

(6)予定する共用者

札幌市内に居住する者であって、アイヌ文化の保存・継承・振興のために共用林野から林産物の採取を行うことが必要な者

(7)森林管理署との調整状況

令和元年8月26日に札幌市から計画の概要を説明し、概ね了解を得ている。