千歳市アイヌ施策推進地域計画から


千歳市計画の「林産物利用特別措置」

以下の文章は、千歳市アイヌ施策推進地域計画(2022年6月8日変更認定)から抜粋しました。
内閣府ウェブサイト 2023/01/04閲覧

(1)当該事業の必要性等

本市は、北海道の中南部、石狩平野の南端に位置し、札幌市や苫小牧市など4市4町に隣接している。市域は東西に長く、東部に農村地域、中央部に市街地、西部は山岳地帯で国立公園支笏湖地域を形成している。森林面積は32,020haで林野率は54%となっており、そのうち82%が国立公園支笏湖地域から市街地へ続く国有林野となっている。民有林は主に東部地域に点在し、森林面積は4,006haで占有率は13%、人工林率は国有林、民有林とも25%前後となっている。

アイヌの人たちは、伝統の儀式に用いるイナウ(ヤナギ等の枝から作られる木製の祭具)や丸木舟(桂の木で制作)をはじめとする各種の生活用具を周辺の森林から採集した樹木の枝・幹等の林産物を材料として制作してきた。こうした林産物の採集は、入林や購入に係る手続きの煩雑さから国有林野では行われておらず、専ら民有林で事前に所有者の了解を得た上で採取が行われ、蘭越生活館を拠点として祭具等の制作が行われている。しかしながら、若い担い手の不足に伴う高齢化が進展し、拠点から離れた民有林まで林産物を採取しにいくことが困難になりつつある中、近隣の国有林野における採取の要望が千歳アイヌ協会から出されていた。今回の共用林野制度の特例措置により、こうした課題を解決し、アイヌ文化の維持及び次世代への継承を図る方針である。

(2)当該事業により採取する林産物の種類、使用目的

1 つる類(ツルウメモドキ、ヤマブドウ等):植生の調査と伝統的な利用法の研究に用いる

2 薬草(イケマ、ナギナタコウジュ、エンレイソウ等):植生の調査と伝統的な利用法の研究に用いる

3 果実(サルナシ、ハスカップ、ヤマブドウ、キハダ、ホオノキ等):植生の調査と伝統的な利用法の研究に用いる

4 山菜類:植生の調査と伝統的な利用法の研究に用いる

5 きのこ類:植生の調査と伝統的な利用法の研究に用いる

(3)当該事業により採取する林産物の概ねの数量

1〜5の種類毎に年平均20kg程度

(4)1〜5の林産物の採取を希望する場所及び管轄する森林管理署等の名称場所

千歳市内及び周辺の国有林野

管轄:石狩森林管理署

(5)予定する契約者

千歳市

(6)予定する共用者

千歳市内に居住する者であって、林産物の使用等を通じてアイヌ文化の保存及び継承に資する意向のある者等(個々の共用者は契約時に作成する規約書において記載する)。

(7)管轄する森林管理署等との事前調整状況

令和元年6月21日に石狩森林管理署から千歳市へ情報提供を受け、必要な手続き等について確認を行った。

令和元年8月27日、本計画書9の(1)から(6)までの記載内容について千歳市から石狩森林管理署へ説明を行い、協議調整の結果、石狩森林管理署の了解が得られている。

令和4年1月6日、国有林野内の林産物の資源量調査結果に基づき、共用林野契約に記載する林産物の種類及び数量等について千歳市から石狩森林管理署へ説明を行い、概ね了解が得られている。


参考:北海道森林管理局開示文書(2023/02/27)


千歳市計画の川サケ利用「特別措置」

以下の文章は、千歳市アイヌ施策推進地域計画(2022年6月8日変更認定)から抜粋しました。一部改変しています。
内閣府ウェブサイト 2023/01/04閲覧

(1)当該事業の概要

アイヌの人々にとって鮭は、カムイチェプ(神の魚)、シペ(本当の食べ物)として、食料としてはもちろん衣服や履物にもなり、アイヌの人々の生活に欠かすことのできない大切な魚であった。鮭が遡上する千歳川沿いのコタン(集落)では、マレク(突き鉤)等を使った漁が行われ、秋にはその年最初に採れた鮭をカムイに捧げる儀式である「アシリチェプノミ(新しい鮭を迎える儀式)」が行われていた。

当市では、こうしたアイヌにおいて継承されてきた儀式等を保存又は継承し、儀式等に関する知識の普及啓発を行うため、平成3年にアシリチェプノミを復活させ、以後、毎年継続的に実施している。このアシリチェプノミは毎年9月の第1日曜日に千歳川の河川敷で行っており、儀式のほか国指定重要無形民俗文化財であるアイヌ古式舞踊が披露され、市民がアイヌ民族の精神文化に触れる貴重な機会となっているところであり、今後も引き続き継続して実施していく方針である。

また、将来的にマレク漁を観光客等に体験してもらい、鮭を使ったアイヌ伝統料理を提供する体験観光イベントを開催することにより、アイヌ文化の伝承と理解の増進を図る方針である。

さらに、アイヌの人々が伝統的に食料として採取してきた川エビやピパ(川真珠貝)についても、活用に向けた調査を実施していく方針である。

(2)実施主体

千歳アイヌ協会(住所:千歳市新星1丁目3-7、代表者:中村吉雄)

(3)採捕の区域

(4)採捕の期間

(5)採捕する水産動物の種類及び数量

採捕の区域 種類 数量 期間
1 千歳川サケ親魚捕獲ゲートから王子製紙株式会社千歳第4発電所堤体までの千歳川の区域 さけ 毎年、150尾以内 毎年、9月1日から翌年2月28日まで
2 千歳サーモンパークせせらぎ水路との合流点より下流50mから千歳サーモンパークせせらぎ水路との合流点より上流50mまでの千歳川の区域 さけ 毎年、200尾以内 毎年、9月1日から翌年2月28日までの内10日以内

(6)使用予定漁具

種類 規模 漁法
マレク(鉤銛) 長さ2.0m 16 かぎ
たも網 口径80cm、長さ2.0m 2 すくい網

(7)予定する採捕従事者

数名程度

(8)使用予定船舶

丸木舟2隻(所有者氏名:千歳アイヌ協会会長中村吉雄)
将来的には丸木舟を8隻まで整備する予定