平取町アイヌ施策推進地域計画から


平取町計画の「林産物利用特別措置」

下の文章は、平取町アイヌ施策推進地域計画(2022年3月10日変更認定)から抜粋しました。
内閣府ウェブサイト 2023/01/04閲覧

1 当該事業の必要性

平取町は、北海道の道央圏南東部に位置する日高地方の西端にあり、日高町、新冠町、むかわ町、占冠村に隣接している。総面積743.09km²で東西52.8km、南北41.1kmとやや三角形に似た形で、日高山脈の最高峰ポロシリ(幌尻岳)の裾野に広がる大地を日本一の清流に何度も選ばれている沙流川(さるがわ)が太平洋に向かって貫流している。町面積の約85%を森林が占め、そのうち約56%が国有林野となっている。

平取町では現代にアイヌ文化が継承されており、生活に使用する民具、住居、衣類、食料、儀礼に用いる祭具などの材料を近隣の山野から得てきたが、なかでも本町はアイヌの伝統工芸が盛んで、二風谷イタや二風谷アットゥシをはじめとする工芸品の材料となる広葉樹は、近年は町内の森林では少なくなり、安定的な供給が困難な状況にある。

現在は、二風谷アットゥシの原材料の確保について、北海道森林管理局と北海道の協力が、平取町から比較的近い市町村の国有林や道有林にあるオヒョウを順番に採取できるように、平取町ならびに二風谷アットゥシの生産者の団体である二風谷民芸組合に協力する体制をとっているが、将来的には、町内の山林で伝統工芸品の原材料を採取できるようにすることが望ましいことから、国有林内に現存する原材料の採取とともに将来に向けた広葉樹の育成が不可欠と言える。

2 当該事業により採取(育成)する林産物の種類、使用目的

ヤナギ・ミズキ・キハダ・カツラ・クルミ・エンジュ・オヒョウ・シナなど:儀礼などに使用
オオウバユリ・ニリンソウなど:アイヌ食文化の伝承活動などに使用

3 当該事業により採取(育成)する林産物の数量

ヤナギ・ミズキ・キハダ・カツラ、クルミ、エンジュ・オヒョウ・シナなど
オオウバユリ・ニリンソウなど
儀礼や伝承活動などの実施のために今後必要となるもののうち、国有林野から採取可能な量として資源状況等を確認したうえで設定する量

4 2の林産物の採取を希望する場所及び管轄する森林管理署等の名称

場所:平取町内(日高町内)等国有林野
管轄:日高北部森林管理署

5 予定する契約者

平取町

6 予定する共用者

平取町内に居住する者であって、アイヌ伝統工芸品の制作等を通じてアイヌ文化の復興・継承に資する意向のある者等(個々の共用者は契約時に作成する規約書において記載する)

7 管轄する森林管理署等との事前調整状況

平成25年4月17日に、北海道森林管理局、平取町、(社)北海道アイヌ協会平取支部(現平取アイヌ協会)の三者は、「21世紀・アイヌ文化伝承の森再生計画~コタンコロカムイの森づくり~」推進のための包括協定を締結し、平取町内の国有林を対象区域として、アイヌ文化伝承に必要な草木等の育成や保全、国有林内に賦存する有形・無形の文化的所産の保全、生物多様性等に配慮した森づくりを推進することについて合意している。


平取町計画の川サケ利用「特別措置」

下の文章は、平取町アイヌ施策推進地域計画(2022年3月10日変更認定)から抜粋しました。
内閣府ウェブサイト 2023/01/04閲覧

1 当該事業の概要

平取町は、沙流川流域にアイヌ文化が古くから現代まで継承されており、アイヌの人々にとってさけは、カムイチェㇷ゚(神の魚)、シペ(本当の食べ物)として、食料のほか履物としても加工され、アイヌの人々の生活にとって欠かすことのできない大切な魚であった。さけが遡上する沙流川沿いのコタン(集落)では、マレㇷ゚(突き鉤)等を使った漁が行われ、秋にはその年の最初に採れたさけをカムイに捧げる儀式である「アシリチェㇷ゚ノミ(新しいさけを迎える儀式)」が行われていた。

平取町では、こうしたアイヌによって継承されてきた儀式等を保存または継承し、儀式等に関する知識の普及啓発を行うため、2004年にアシリチェㇷ゚ノミを復活させ、以降、毎年継続的に実施している。このアシリチェㇷ゚ノミは毎年9月の中下旬に沙流川支流の沢で行っており、儀式のほか、マレㇷ゚漁を町民や町外からの来訪者にも見学していただき、サケを使ったアイヌ伝統料理の試食体験を行うなど、町民や来訪者がアイヌの伝統文化に触れる貴重な機会となっており、アイヌ文化の伝承と理解の増進のため、今後も継続して実施していく方針である。また、今までは捕獲したサケを捕獲用の水場に移し行っていたが、自然俎上するサケについても沙流川本川・支川での採捕を行う。

2 実施主体

平取町(北海道沙流郡平取町本町28番地)

3 採捕の区域

北海道沙流郡平取町
1)沙流川支川アベツ川
2)沙流川本川二風谷ダム下流域
3)沙流川支川オサツ川
4)沙流川支川額平川貫気別川合流附近
5)沙流川支川ニセウ川本川との合流附近
6)沙流川本川本町親水公園附近

4 採捕の期間

9~11月頃(約3か月間)

5 採捕する水産物の種類及び数量

伝承活動・儀礼として200尾/年程度

6 使用予定漁具種類

種類 規模(おおよその数値) 漁法
マレㇷ゚(自在もり) 長さ73cm かぎ幅9.4cm 6 かぎ
アプ(魚とりかぎ) 長さ185cm かぎ幅12.5cm 5 かぎ
ラウォマㇷ゚(うけ) 長さ250cm 高さ55cm 横40cm 1 やな

7 予定する採捕従事者

イオル再生事業従事者、平取町アイヌ施策推進課アイヌ文化保全対策室職員、平取町内アイヌ文化継承者等20名程度

8 使用予定船舶

丸木舟3隻

9 関係者との事前調整状況

日高さけ・ます増殖事業協会
令和元年6月25日に計画の概略を説明し、内容について概ね了解を得ている。
令和3年2月10日に計画変更の概略を説明し、内容について了解を得ている。

ひだか漁業協同組合
令和元年7月1日に計画の概略を説明し、内容について概ね了解を得ている。令和3年2月12日に計画変更の概略を説明し、内容について了解を得ている。